朝マヅメの語らい
「こちらは宅急便でしょうか?」
「いや、ちがう」

 緩みそうな表情を引き締めようと、橋爪は眉間にしわを寄せた。

「これは先日の礼だ」
「……はい? 礼、と申しますと」

 麻衣は細い目を見開いて、首を傾げた。ポニーテールの毛先が同じ方向にさらりと傾く。

「レモン大福。うちの部下からもらったんだが」
「ああ」

 ようやく合点がいったようで、麻衣は何度も頷いた。

「あのお兄さん、いつも大福買いに来てくれるの覚えてたので。あの日ももしかしたら来るかなって思って、余分に買っておいたんですよ」

 一度はかわいく思えた後輩が、やはり憎らしく思えてくる。自分の方が大福購入率も、利用頻度も高いはずだ。

しかもあいつは二年、こちらは五年の付き合いなのに、なぜあの貴重な大福を坂巻に渡すんだ。口から溢れそうな気持ちを抑えて、橋爪はこぶしを握り締めた。

「いつも大福が食いてえのは、あいつじゃなくて俺の方だけどな」

 つい口調が粗くなったが、麻衣はそれを気に留める様子もなく微笑んだ。
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