4時44分45秒目の世界には
がりり――
がりり――
と、今度は壁を掻く音。
間違いない。
なにかが、壁の向こうにいる。
キッチンから出て右の廊下――階段との間に、なにかが。
がりり――
光から身を隠していながら、息を潜めていながら、存在を主張している。
がりり――
なにかが……
少女は、ゆっくりと踏み出した。
フローリングの冷たさを味わいながら、一歩、一歩と、入り口へ進む。
がりり――
そして廊下の手前で、立ち止まった。
入り口のへりに手をかけ、廊下を、覗き込む。
そこには――
「……?」
なにも、だれも、いなかった。
首を捻りつつも、少女は胸を撫で下ろす。
ひょっとしたらただの空耳かもしれない。
思って、少女はトイレへ行くことにした。
廊下へ出て、階段を通りすぎ、電気のスイッチを入れながら突き当たりのドアを開ける。
羽虫の飛ぶような乾いた音を立てて、小さな個室に白が灯った。
がりり――
と、今度は壁を掻く音。
間違いない。
なにかが、壁の向こうにいる。
キッチンから出て右の廊下――階段との間に、なにかが。
がりり――
光から身を隠していながら、息を潜めていながら、存在を主張している。
がりり――
なにかが……
少女は、ゆっくりと踏み出した。
フローリングの冷たさを味わいながら、一歩、一歩と、入り口へ進む。
がりり――
そして廊下の手前で、立ち止まった。
入り口のへりに手をかけ、廊下を、覗き込む。
そこには――
「……?」
なにも、だれも、いなかった。
首を捻りつつも、少女は胸を撫で下ろす。
ひょっとしたらただの空耳かもしれない。
思って、少女はトイレへ行くことにした。
廊下へ出て、階段を通りすぎ、電気のスイッチを入れながら突き当たりのドアを開ける。
羽虫の飛ぶような乾いた音を立てて、小さな個室に白が灯った。