【最愛婚シリーズ】俺に堕ちろ~俺様社長の極甘な溺愛包囲網
翌日の朝。

出勤後ロッカールームに荷物を置き、軽く身だしなみを整えていると、入り口付近から声が聞こえてきた。

「ちょっと、ここだけの話なんだけど……いい?」

「うんうん」

ここにわたしがいるのも気がつかずに、彼女たちは〝ここだけの話〟を始めてしまった。

聞くつもりはなかったのだけれど、次に出た人物の名前を聞いて、動きが止ってしまう。

「営業課の皆川くん、昨日すごーい美女と歩いてたの、見ちゃった」

「えー! だって彼……」

「しーっ」

「あ、ごめん。だって彼、同期の……誰だっけ、そう赤城さんとつき合ってたよね?」

「そうそう。二股……っていうか乗り換え? 正直昨日歩いていた美女の方が彼にぴったりって感じだった」

ぎゅっと心臓が握りつぶされたように痛い。喉の奥が苦しくて呼吸をするのがやっとだった。

どういうこと? わたしとは会えないのに、その美女とは会う時間があったわけ?

何か理由があるのかもしれない。普通の状態ならば冷静に考えられただろう。

けれどここ最近の駿也の態度から、彼の気持ちがわからなくなっていた今、わたしにとってそれは、凶器だった。

胸をえぐられるような痛みに耐えられなくなり、その場に静かに座り込んだ。

胸のあたりを押さえて、なんとか痛みが治まるのを待った。

その隙に、噂話をしていた女子社員はロッカールームを出て行ったようだ。

駿也……わたし、今すごく不安だよ。わたしたち大丈夫だよね? 

そう聞きたくても、連絡さえほとんど無い今の状況で、彼に尋ねることなんてできなかった。

そんな鬱々とした日々の中で、ふたりの関係が大きく動き出した。
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