獣な彼の目覚める独占欲~エリート准教授に熱い夜を教えられました~
「鈴音、帰ろう」
なるだけ負の感情を抑えたつもりだが、彼女は俺の手を強く握って来た。
多分、俺の気を静めようとしているのだ。
「鷹臣君、私は大丈夫だよ」
「ああ」
小さく頷いて、鈴音の手を握り返すと、ファイサルの顔も見ずにこの場を去る。
彼の顔を見たくなかった。
ファイサルが用意した車の後部座席に彼女と乗る。
「凄く心配したんだ」
今の自分の気持ちをストレートに鈴音に伝え、彼女の肩を抱く。
「鷹臣君、心配かけてごめん」
そう言って謝りながら、彼は俺の胸に頬を寄せた。
身体に伝わってくるその温もりにホッとする。
激しく荒れていた心が落ち着いてきて、鈴音は俺の心の安定剤なんだって思った。
健吾達のことを思い出して、メールを打ち、車窓の風景をボーッと眺める。
俺達のホテルに戻るかと思ったが、車はナイル川沿いを走って行く。
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