獣な彼の目覚める独占欲~エリート准教授に熱い夜を教えられました~
心配になって電話に出れば、弟の明るい声が耳に届く。
《姉ちゃん、まだルクソールだよね?》
元気そうなのはいいけど、息が荒くない?
「うん、そうだけど。なんかあった?」
なにか慌てているようで理由を聞いたら、悟は猫なで声で言った。
《やっぱカルトゥーシュのアクセサリー欲しくなっちゃってさあ。俺の名前掘ったのお土産に買って来てよ》
「え~、大学生にそんな高い物買わせないでよ」
カルトゥーシュのアクセサリーは金や銀に象形文字が彫られたもので、人気のエジプト土産。
カルトゥーシュというのはファラオの名を囲む曲線のことだ。
自分の名前やファラオの名前を彫ってもらうのだけど、金だと万単位はする。
《じゃあ、仕方ない。鷹臣さんに頼もう》
安易な弟の発言に思わず思わず怒った。
「鷹臣君にそんな高い物おねだりしないの!学者は貧乏なんだからね」
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