獣な彼の目覚める独占欲~エリート准教授に熱い夜を教えられました~
「ありがとね」
瓶の袋を胸に抱き締め礼を言えば、彼は少し不思議そうな顔をする。
「『ひとつでいい』なんて鈴音は欲がないね」
「いいの。また次来た時に買うから」
私の返答に鷹臣君は先生の顔で言った。
「だったら、もっとアラビア語上手にならないとね」
「うっ、頑張ります」
痛いところを突かれ、言葉に詰まる。
あまりその話には触れないで……と思っていたら、鷹臣君は話題を変えた。
多分私の心を読んだのだろう。
「ところで、卒業式になに着るかちゃんと決めてあるの?」
「うん。行きつけの美容院に袴頼んだんだ」
発掘調査に参加する気満々だったから、一月に袴のカタログを見て申し込んでおいたのだ。
「へえ、それは楽しみ。可愛すぎて肝心の卒業式には出られなくなるかもしれないな」
「え?なんで?」
彼の発言が気になって聞けば、とんでもない答えが帰ってきた。
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