レフティ

「先生と剣士さんは?いつからのお付き合いなんですか?」

その美沙の言葉には、なぜか微妙な空気が流れた。

「んー、俺らも小学校入ったくらいじゃない?なぁ」

鎧塚さんの言葉は、事実というよりも、フォローをしているように聞こえる。
なにか、そんなに聞いてはまずいことだったのだろうか。

「…そうだな。俺も桃田さんみたいな感じ。転校生的な」

“転校生的な”という謎の言葉はひっかかったが、もうこれはここで終わりにした方が良さそうだ。
きっと美沙も同じことを思っていたから、私たちはあえて何も言わなかった。

タイミングよく次の料理が届いたことでその場はなんとか保たれたが、先生の顔はさっきまでより少し曇ったように見えた。



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