レフティ
予定通り、この勝負は私たちが負けたわけだが。
「はい左利きコンビの負け~里香ちゃんざんね~ん」
意気揚々とテキーラを運んでくる鎧塚さん。
彼だけがまだノーテキーラだ。
なんてことない顔してライムをかじってそれを飲み干すが、テキーラは後になってくる。
もうそろそろお開きにしてほしいところだったが、鎧塚さんが負けなしなことだけがちょっと悔しい。
「次先生と鎧塚さんのタイマンが見たいね~」
美沙に目配せすると、彼女もうんうんと頷いた。
「レベルの高いのが見たーい」
「お前ら~」
鎧塚さんは私と美沙の頭を小突いたが、そうまんざらでもなさそうに、先生に勝負を挑んだ。
彼は見た目はものすごいオーラを放っているが、実はちょっと頭があれなのかもしれない。
「っし、剣士にテキーラ飲ませて終わろーぜ~」
「ないないない」
そんなイケメン2人の掛け合いは、私たちのみならず、周りの女性たちまで虜にしていた。
かっこよくない?という声が、あちらこちらから聞こえてくる。
その声に鼻が高くなるような、胸が苦しくなるような。