満月は密やかに
「…つまり、私はあんたを『敵』と見なして良いって事だよね?」
彼に向けて鋭い眼差しを向けたのは果たして何年ぶりか。
これは最終確認でもあった。長年信用してた相手だったのもあり、自分でも簡単に捨てきれない思いがあったんだろうと今では思う。
彼はいとも簡単に私の迷いを打ち消した。
「そう捉えてもらっていいすよ。例え親父の思惑通りでも、俺は満月が手に入るならそれでいい…。」
彼はもうじき周辺を統括する長となりつつある。
関係が崩れてしまってから、二年の月日が経った。
高校生活最後の一年で私は彼らの手の届かない場所へ逃げる計画を練る。
私は現在(いま)も抗い続けている。
『三月二十日』
タイムリミットはもうすぐ側だ。
私は今日も、華やかに彩られる夜の街へひっそりと潜む。
もう痛むはずの無い胸に手を当てて、自らの鼓動を聞くと
耳鳴りが少しだけ和らいだ。
昨日取っ組み合いになった一人が吐いた有力な情報を元に
今日はその組織に足を踏み入れようとしていた。
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