満月は密やかに

「やけに騒がしいな…。」

どうやら先を越されたようで、辺りには血がまるで花のように絵を描いていたり、怒鳴り声や地面と鉄が擦れるような音が響いている。

酷い有り様に喉の奥が気持ち悪くなって、視線を足元へ移すと、ちょうど争っている場面を目撃した。

「鉄パイプって…凶器は卑怯でしょ。」

下手したら死んでしまうかもしれない。
瀕死状態になっている相手に対してそこまでするかと思い、隙間から的確に尖ったナイフを落とした。

「うわああああああ!!」

大袈裟な叫びを上げるそいつに半ば呆れながら、気絶させる為に首筋を狙う。

「おい、生きてるか。」

揺さぶるとまだ意識はあるようだが、朦朧としている瞳はどこを映しているのかすらわからない。
とりあえず、こいつは外に放り出しておこう。

用があるのはここの組を統括する五十嵐という男だけだ。
しかしこの集団は、噂されるほど強くはないみたいだな。
襲撃されてほぼ壊滅状態にされている所を見ると、どうやら気をつけた方がいいのは襲撃した側のように感じる。

乱闘中の邪魔な奴らは片っ端から黙らせて、用心しながら先へ進むと二つの影が明かりに照らされてゆらりと動く。
怒鳴り声を上げている方が、明らかに奇襲を受けられた五十嵐か。
対面する男には見覚えがあったが、どこで見かけたかまでは思い出せないままで乱闘は目の前で繰り広げられていた。

どうやらここの方針は凶器を使用するのが主流らしい。
自分達の力で昇りつめようともしないゴミ溜めのような集まりだ。

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