夢原夫婦のヒミツ
土砂災害が起きる前の衛星写真を頼りに、俺たちは被害の把握もままならないまま捜索に当たった。

近所の住民たちが見守る中、彼女が発見された時は歓喜に沸いた。

彼女の生存に友人や近所の住民、そして俺たちに希望を与えてくれて、その後も必死に捜索を続けたものの、願いは虚しく生存者はたったひとりだけだった。

必死に俺の服を掴んで離さない彼女は、何度も家族の名前を口にしていた。

偶然にも俺が両親を亡くした歳と同じで、どうしても自分と彼女を重ねて見てしまい、上司の許可を得て一通の手紙を送ったんだ。


きっと両親や祖父母を助けられなかった罪悪感もあったんだと思う。

なにより境遇が似ている彼女のことを、放ってなどおけなかった。だから文通で繋がりを持つようになったんだ。

最初は可愛い妹ができたような気持ちだった。

高校生活のことや受験に対しての悩みなど、愛実は色々なことを手紙に綴ってきた。

それを読むたびにどうにかしてあげたくなり、必死に手紙に書き綴ったのを今でもよく覚えている。
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