夢原夫婦のヒミツ
改めて結婚を意識した時、これまでは漠然としか考えられなかった未来だったのに、どうしても愛実の存在が頭に浮かぶんだ。

そこで初めて自分の中で、愛実がどれほど大きな存在になっているのか実感したんだ。

愛実の気持ちはわからない。もしかしたら頼りになる兄のような存在なのかもしれないし、恋愛感情などまったく持たれていないかもしれない。

それでも自分の想いを伝えずにはいられなかった。

迷って悩んで彼女に送る婚約指輪を購入し、大学卒業の日に告白してプロポーズしようと決めていた。

今すぐにではなくてもいい。結婚を前提に付き合ってほしかったから。

それなのに、な。まさか愛実も同じ気持ちでいてくれていたなんて……。

彼女からの告白を思い出すと、今でも胸が熱くなる。

懸命に気持ちを伝えてくれた姿は、一生忘れられないと思う。

愛実の寝顔を眺めながら昔のことを思い出していると、再び時計が音を三回鳴らした。

いい加減、どうにかして寝ないとな。明日の勤務に支障をきたすわけにはいかない。

仰向けになって固く瞼を閉じ、必死に寝る努力を続けた。
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