夢原夫婦のヒミツ
いや、私がよくても大和さんはよくないよね。身体が大きいもの、寝ても疲れが取れていないかもしれない。

「愛実、ここなんてどう?」

大和さんが見せてくれたのは、都心部から少し離れた場所にある大型アウトレットだった。

「大型家具の店もあるようだし。たまにはゆっくりふたりで買い物もしたいし」

「いいですね、私も大和さんと買い物したいです」

そういえば結婚してからふたりで買い物といったら、近所のスーパーくらいだ。遠出もあまりしていない。

ここなら隣にちょっとした遊園地もあるみたいだし、楽しめそう。

大和さんと観覧車やジェットコースターに乗っているところを想像していると、彼は「それと……」と言いながら立ち上がった。

「大和さん?」

なぜか自分の部屋へ向かう大和さん。すぐに戻ってきた彼の手には封筒があった。

そして再び私の隣に腰を下ろすと、封筒の中身を開けた。

「今日の仕事帰り、駅前の代理店に寄ってパンフレットだけもらってきたんだ」

大和さんが私に渡してくれたのは、旅行パンフレットだった。
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