夢原夫婦のヒミツ
「ありがとう、佐介。心配してくれて。……大和さん、昨夜現場に向かったけど、私なら大丈夫だよ」

『そうか……それならいいけど』

朝は不安と寂しさでいっぱいだったけど、こうして心配してくれる友達がいるってだけで心強い。

『蘭の誕生日会、どうする? できそうか?』

「もちろん。大丈夫」

むしろ仕事終わりにひとりで家にいるより、ふたりに会っていた方がいい。

「そうだ、場所はどうしようか。どこかお店を予約する?」

平日だし、どこも空いていそうだよね。なにがいいかな。

近くにある飲食店を思い浮かべていると、佐介からある提案をされた。

『今年はさ、もし大丈夫なら愛実の家でやらないか?』

「えっ、私の家で?」

『あぁ。蘭も言っていたんだ。もしかしたら予定より早く大和さんが帰ってくるかもしれないし、なにより愛実も家の方が落ち着くんじゃないかって』

ふたりとも……。

『どうかな?』

大和さんがいなくて不安になっているからかな。ふたりの優しさに泣きそうになる。
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