夢原夫婦のヒミツ
こうして実際に夢が叶って私は幸せ。……でも。

「私、大和さんの仕事のことをちゃんと理解しているつもりでいました。……でも本当はしっかり理解できていなかったのかもしれません」

顔を上げて真っ直ぐ大和さんを見つめた。

「この二週間、寂しくて不安でたまらない時もありました。だから私、もっと強くなります。働いて頑張る大和さんが安心して帰ってこられるように」

「愛実……」

すぐには無理かもしれないけど、大和さんを笑顔で送り出して、笑顔で送り出せるようになりたい。

「だから大和さん、なにがあっても絶対に無事に帰ってきてくださいね」

それを約束してくれるなら、私は大和さんを信じて待つことができるから。

すると大和さんはギュッと私を抱きしめた。

「あぁ、約束する。どんな現場に向かっても、絶対に帰ってくると。……愛実が待つ家に帰ってくるから」

力強い声で言ってくれた大和さんの言葉に、涙が零れ落ちた。

大和さんと夫婦になるということは、寂しい思いをしたり、不安になったり心配になったりすることがたくさんある。
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