夢原夫婦のヒミツ
身長百七十五センチ。毎日厳しい訓練で鍛えられた逞しい身体は、後ろから見ていると抱き着きたくなるほど。

清潔感のある黒髪の短髪に、凛々しい切れ長の瞳。誰が見てもカッコいい男性だと思う。

まじまじと眺めていると、私に気づいた大和さんは「悪い」と言いながら、急いで洗面所を空けてくれた。

「どうぞ」

「あ、ありがとうございます」

立ち替わり洗面所に入ってメイクを施していく。

大和さんに比べて、私はごく普通の容姿をしている。身長も成人女性の平均身長である百五十四センチ。体重も至って平均的でモデルのようにスリムな体型なわけがなく、かといって太っているわけでもない。

少しくせっ毛のロングヘアに、唯一自慢できるクリッとした大きな二重瞼の瞳。

軽くメイクをして髪を後ろでひとつにまとめた。

リビングへ戻ると、大和さんが出勤する時刻になろうとしていた。

「それじゃ愛実、先に出るな」

「あ、はい」

玄関へ向かう彼の後を追う。そして靴を履いて立ち上がった大和さんに、いつもの言葉を掛けた。
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