お見合い相手はエリート同期

「ねぇ。朱音は澤口くんのことなんて呼んでるの?
 2人の時は名前でしょ?」

「え?」

 知世の発言にこれは面白そうだと澤口がこちらへ向き直ったのが腹立たしい。

「そうだよな。
 恭一って呼べばいいだろ?」

「………ッ。呼ばない。」

「えー。どうして?呼べばいいのに。」

「高橋さん、顔赤いけど照れてる?」

「本当〜。照れてる。朱音、可愛い〜。」

 みんなにからかわれて今度は私がそっぽを向く番だ。
 奥に座らされたから壁しか見えないけど。

 それからは料理が運ばれてきて、食べながら他の同期が転職しただとか、結婚した、昇進した。
 そんなたわいもない話で盛り上がった。

 同期っていいなぁ。
 同じ時期に入社して、同志という感じが。

 澤口は別格で私達とは違う存在なのかと思っていたけど、案外、同じなんだなぁと思うと何故だか嬉しかった。

< 85 / 199 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop