パクチーの王様

 ねえ? と言って笑うおばさま方に、奥から料理を手に出てきた彬光が、
「えーっ。
 僕はーっ?

 僕はイケメンじゃないんですかーっ」
と言って、ほほほほ、と笑われていた。

 彬光くんの場合は、イケメンというより、可愛い子って感じだが――。

 じゃなくてっ、と芽以は圭太を見る。

「なんで此処に居るのっ?
 会社はっ?」

 さっきの大原の話が頭をよぎったからだ。

「息抜きだよ、息抜き。
 初めてやったよ、こういうの。

 楽しいな、意外と」
と機嫌良く言って、彬光が、

「そうなんですー。
 なんにも教えもらってないのに、めちゃくちゃ手際がいいんですよ、この人ー」
と圭太を指し、言っている。

 そう。
 逸人と一緒で、基本なんでも出来る男なのだ。

 だが、その、なんでも軽くこなしすぎるところが、なんとなくチャラく見えるので、年配の人の信用が得がたいのかもな、という気はしていた。
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