mirage of story












「.............やはりこの闇は人をおかしくするらしい」




そのはずだったのに、どうだろう?

そんな自分から、誰かの身を案じる言葉が出た。
それもとても自然に、言葉として発せられた。


ジスの身はともかくとして、出逢ってからの日にちもまだ浅いシエラやカイム、そしてライルやジェイドのことまでも心配している自分が居る。
その事実が、何だかロキは自分でも信じられなかった。























「.......あ、居た居た!
おーい、ロキちゃーん!」




顔をしかめそんなことを思うロキ。

この取り巻く闇のせいで感覚がおかしくなっているのだと、変に考えるのは止めて再び歩き出そうと地に突き立てた剣を抜こうと柄を握り直そうとする。


すると遠くからまるで緊張感の無い声が唐突に耳に届いてきて、ロキは思わず剣を掴み損ねそうになった。









「この闇は幻聴まで催させるのか、本当に恐ろし――――」


「ロキちゃんってば、こっちこっちー!」


「.............」




声がだんだんロキの方へとやってくる。
所々で轟音と叫びが飛び交う戦場には、そぐわない軽快な足音も一緒に。

初めは闇から来る幻聴か何かと思ったが、どうやら本物らしい。
ロキは歪めていた顔を、今度は違う意味で歪ませた。








「はぁ....はぁ....やっと見つけたぜ。
こっち着いたらこんな闇だよ。参っちまうね、全く。

でもでも何となくこっちにロキちゃんの冷たくて冷ややかで無愛想で無感情な可愛げのないオーラがしたから来てみれば、ほらやっぱり!
やっぱこれって運命?

って、ロキちゃーん?
聞こえてる?もしもーし」



「..........聞こえている」








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