mirage of story

 
 



 
「シエラー!シエラッ!
どこに居るんだッ!?」






だいぶ村の奥まで来た。
だが、ここに来るまでシエラどころか他の誰とも会っていない。





ここにはもう、誰も居ないのだろうか?
カイムは、そう思い始めていた。












「――――ん?」





そう思い始めた矢先、遠くの方から人の声が聞こえた気がして、カイムは声の聞こえた先を見据えた。









(......シエラか?)





カイムはゆっくりと、でも着実に声の聞こえた方へと足を進めた。




....ッ。

最初、聞き間違いかとも思ったが聞き間違いではなかった。






やはりこの先に、人が居る。
しかも、一人ではない。何人かの者が居る様子だった。






その声の元へ、カイムは警戒しながらゆっくりと近付く。


一歩。また一歩。
声はカイムが近付くにつれて鮮明に聞こえるようになっていく。



そして。









(―――ッ!?)




声に続いて、剣か何かの音が聞こえた気がした。
誰かが、この先で戦っているようだ。









(まさかシエラじゃ....)





カイムは全身に嫌な予感を感じ、その音の元へと足を早めた。

























「―――お前ら人間さえ居なければ.....アイツはっ!」





男の声がした。
その声からは、言葉では表せないような悲しみ・怒りが伝わってくる。

おぞましい声だった。









........カンッ。
 
 
 


< 131 / 1,238 >

この作品をシェア

pagetop