mirage of story
 
 
 





........。

この道を歩むと決めていなければ、ただずっと自分を責め続けていた。
何の進展も無いままで自分を見失っていた。


復讐の道。
そう、その道を指し示してくれたロアルが居たからこそ、今日あの炎に塗れた村で彼女に―――捜し求めてきたルシアスの仇にようやく辿り着けた。 
復讐という闇の道に光が見えた。







――――。
まだルシアスを失った哀しみからは完全に抜け出せた訳では無い。 
この哀しみから抜け出すことは、どんなに時間をかけても無理だろう。 
それほどルシアスはライルにとっての大切な人だった。 



でもただ哀しみに暮れてあるわけにはいかなかった。 
何かをせずにはいられなかった。 



復讐。報復。
仇を討つことだけが、守り抜くことが出来なかったルシアスへの唯一にして最大の罪滅ぼし。 

だから絶対に果たさなければならない。
走り始めてしまった復讐の道にようやく差し込んだこの希望の光を必ず掴み取らねばならない。




止まることは許されない。
ただ全力で走り始めてしまったこの道を走り抜ける。

同じ志を持つ仲間と共に。
この道を指し示して希望を与えてくれたロアルと共に。


今の自分があるのは全てロアルのおかげだった。 
















(...........)




だがそんなロアルを最近訝しく思う時がある。

彼の指し示してくれた道、自分を導いてくれた言葉が嘘だったとは思わない。
だが闇に覆われたこのロアルという男の裏には何か自分が到底知り得ない計り知れないものがある。 


ロアルが本当に考えているものは、感じているものは果たして本当に自分と同じものであるのか。
それが見えなくて訝しくそして恐ろしく思ってしまう。







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