mirage of story
 
 
 





ロアル。
そして彼を取り巻き彼の真を覆い隠す闇。

その闇は余りに深く濃厚で日を増すごとに周りを巻き込んで浸食していく。
そんな闇に自分もいつか飲み込まれてしまう気がしてライルは時折恐怖に駆られた。




感謝すべき相手にこんな感情を抱くだなんて、自分は不届き者だ。

だけど、だけどどうしても消せないこの気持ち。この不安。 
これは本能が何かを感じ取って警告を発しているのかもしれない、そうとも思えた。










(..........あの人は仲間だ、あの人は同志なんだ。
何の心配も要らない。
ただ、俺はあの人と共に指し示されたこの道を進んでいくしかない)





ッ。
湧き上がる不安を押し殺す。

余計な不安は己を迷わせる。
そしてその迷いは歩む道を狂わせ命を揺るがす脅威となる。



信じなければ。
例え闇に飲み込まれてしまいそうになっても、例え飲み込まれても。














(――――俺はあの日交わした約束を守ることが出来なかった)




だから。 






(果たせなかった。
その責任を果たすためにも―――俺が必ず人間達を倒して)




ルシアスの仇を取り、復讐を遂げる。
そのためなら何の犠牲も惜しまない。


ッ。
揺るがない決意。
ライルは強い想いを秘め、胸元に隠すとある物に手を当てる。 
 
 
 






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