mirage of story
 
 




 
「な、何でしょうか?王様」




緊張のせいか、言葉が自然と丁寧になってしまう。

何だか足まで震えてきて、落ち着こうとしているのに緊張がどんどん増していった。




その一方、ライルの隣にいるルシアスは。






「あはは、緊張してる!ライル変なのっ!」



とか言いながら、ケラケラと笑っている。

まったく。
外見は少し大人っぽくなったのに、中身は全然いつもと変わっちゃいない。






(......)


そんなルシアスの姿に、ライルはちょっとムッとする。
それと同時にいつものルシアスの姿に、ホッとする自分も居た。




そんな様子の二人を見て、王はまた口を開いた。








「そんなに緊張する必要はないのだよ、ライル。

.....ルシアス、お前はもう少し緊張感を持ちなさい」



「......むうぅ....はぁい」



怒られたルシアス。

むくれたような返事をして、頬を膨らまし子供染みた仕草を見せる。



本人に自覚はないがその仕草はとても可愛らしいもので、ライルは密かに頬を赤らめた。






そして、いつもと変わらぬそんな王とルシアスの会話に緊張が一気に安らいだのを感じて、肩に入っていた力がスッと抜けた。








「で、何なの父様?ご用って?」



ルシアスはむくれたままの声で、そう聞く。





「あぁ、そうであったな。
.....実はな、今日は二人に話しておかねばならぬことが―――」





何故ここに呼ばれたのか内心とても気になっていたライルは、『実は....』の後に続く言葉を待つ。

だかその期待を、見事にルシアスの言葉が遮った。






「あ、分かった!
誕生日プレゼントのことねっ!」



「.....は?」
 
 
 
 
 
 
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