mirage of story
 
 
 
 
 
 
 






 
(........ライル。
お前には、まだその身を削ってもらわねばならん。

―――――――。
この国に尽くすことがルシアス姫の仇を討つことに繋がる、そうであろう?)





これが彼の男の本質であった。


ッ。
ロアルは次第に込み上げて来る喜びの感情を、そして笑いを堪える。

その笑みは実に醜悪で、黒く塗りたくられたその笑いは空間を蝕む。
空間が闇に濁っているように見えた。







(........我に従え。
そして滅ぼすのだ、人間を。
我が願いを果たすための忠実なる駒となれ。
それがお前の宿命である定められた運命だ、ライル)




ククク....ククッ。
込み上げる笑いで、震える肩を必死に抑えた。
















――――。
コンコンッ。

笑いに震える肩。
闇の滲む濁った空間が支配する部屋にノック音が響き渡る。








「失礼致します。
俺です、ライルです。
ご用だと聞き参上致しました」



「.......。
入るがいい」











(..............さぁ、我の世界を手に入れるための願いを果たす最終段階の始まりだ。

世界の風はこちらに向いている。
もう誰にもこの流れを断ち切ることは出来ぬぞ。
ハハッ......ハハハハハッ!)





狂った笑い。
狂った闇。
ロアルの闇は次第に広がり、世界をも侵略していく。
侵していく。蝕んでいく。


白い世界にポツリと落とされた一点の黒。
じわりじわりと広がるその黒の侵略は、もう誰にも止められはしない。

広がる黒。
耐える白。
二つの織り成す形は、一瞬ごとに刻々と変わり続けていた。










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