mirage of story
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ライルは可哀想な少年だった。
彼女を守るため彼はあの時自らの危険を顧みること無くただ彼女のために戦った。
彼女の手を取り、そして彼女の命を守るためにその手を離した。
――――。
なのに生き残ってしまったのは、守られるべきはずの彼女でなくて彼女を守るはずだった自分。
ライルは悔やみ己と彼女を奪った人間を恨んだ。
初めは事実を受け入れることを拒み、彼女を捜し続けていたライル。
国を出て全てを捨てて、彼は彼女を捜して捜して......捜しまくった。
だが結果は覆らなかった。
ッ。彼女は見つからないまま。
もう自分の傍に彼女は居ないのだと悟った。
それどころか皆が口々に言っていたルシアスの死への噂が濃さを増す。
ライルの心は打ちのめされた。
彼は失望の闇に堕ちた。
(.........フン。馬鹿馬鹿しいことだ。
愛などのために自らの人生を棄てるとは。
下らぬ。虫唾が走るわ)
悲しく哀れむはずのライルの過去。
だがロアルはそれを前に笑みを嘲けを帯びた笑みに変える。
(........。
まぁ、奴がそのような下らん考えを持っているおかげでここまで来れたのだから感謝せねばならん。
奴の働きは他の雑魚とは違い目覚ましいものだ。
.......さすが憎しみを糧に生きる者にしか出せぬ、底知れぬ恨みの賜物よ)
........。
そう。
ライルのルシアスを失った哀しみ奪った人間への恨みがこれほどまでに強くなければ、ロアルはまだ何も実行出来ぬまま足踏みしていた。
........。
ロアルは自らの欲望を満たすためライルを――――彼のルシアスを想う純粋な気持ちを哀れむ訳でなくただ利用した。
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