mirage of story


 
 
 
 
 
「.......へ?」




不意打ちな言葉。
初めは意味が分からなくて二人して顔を見合わせ黙り込む。

――――。
だが暫くしてネビアの言葉の意味が頭の中に流れてくると彼女の顔は急激に熱く赤くなっていく。 






「な、な、な、な、な!何言ってるんですか!
か、カイムとはそんなのじゃなくて─────」



「いえ恋人とかそんなものじゃないです。
俺達は仲間。仲間なんです。
な、シエラ?」




真っ赤な顔。
あたふたしながら弁解する。

だがその彼女の横で笑顔のカイムの言葉がさらりと否定。
その言葉に、一瞬パッと動きを止めてそれから我に返り彼を見る。








「....あ、はい。
そんなんです、私とカイムは一緒に旅をしている仲間なんです」



動揺しつつ笑顔で頷く。
動揺の理由は彼女自身にも判りはしない。

その笑顔が若干引き吊っていることに、鈍感な彼が気付くはずも無い。










(そんなに笑顔であっさり否定しなくてもいいと思うんだけどな)



心が針で刺されたみたいな小さなショックに襲われる。
何だろう、その正体はやはり判らない


........。
実際二人はただの仲間であり、彼は正しいことを言っているだけなのであるが。 

でももうちょと、何か無いのかしら。
無意識の内にシエラはそんなことを思っていた。 







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