mirage of story
胸にあてた手のひらに、微かに力が入る。
(─────何だか.....凄く懐かしい)
心の中が温かい。
何か分からない感情が、身体の中に沸き上がる。
この温かさは、カイムのことを考えているからだろうか?
それとも.....。
スーッ.......。
何故かは分からない。
......何故かは分からない───だけど
シエラは泣いていた。
(.......何で、私泣いてるの?)
シエラには、この涙の意味が分からなかった。
心の中に在るのはカイム......だけど、沸き上がる感情は─────違う。
誰に抱いた感情かは、分からない。
だけど......凄く.....心地よい感情だった。
(........何か、私も普通じゃないみたいだ。
────今日は、もう寝よう)
シエラは、横にあった布団を頭までかぶった。
そして再び枕に頭を埋める。
きっと、明日になったら
この今のシエラ自身にも分からない感情は.....消えるだろう。
この何故だか分からないもどかしさも。
何処からか沸き上がる、心地よさも。
明日になれば、きっと....全て消えてしまうだろう。