mirage of story
突然の頭の痛みに耐えるカイムを前に、夢の中のカイムの父は、腕の中に居るまだ幼いカイムへと言葉を注ぐ。
(..........くそっ....
何だ.....この痛みは。
─────父さん)
父の言葉が、痛みに疼くカイムの頭の中に響く。
今、父が幼い自分に話し掛けている.....頭の中に響くその言葉はカイムの記憶にはない、初めての言葉だった。
(........父さん.....)
だんだん意識が擦れてきた。
瞼が、重い。
『──────カイム。
お前は......誰よりも幸せになるんだ。
私の何よりも大切なものなんだからな。
カイム、元気で.....生きていくんだよ』
薄れゆく意識の中で聞こえる、懐かしき父の声。
カイムはその声に、閉じかけていた瞼を抉じ開けて、父の姿を見た。
────父は.....泣いていた。
悲しげなその瞳から、じんわりとあふれ出るように零れ落ちていた。
その涙は、地を濡らし
抱き抱える幼いカイムの頬をも、湿らせた。