mirage of story
そんな我が子を見た父は、そっとカイムの傍にしゃがみ込み
そっと小さな身体を抱き上げた。
『────────すまないな......カイム』
父は、消えるような声でそう言った。
そう言う父の瞳は、酷く悲しかった。
腕の中のカイムは、ピクリとも動かない。
『父さんは......行かなきゃならないんだ。
────もう.....帰っては来れないかもしれない。
お前にも......もう父としては会えないかもしれない』
父は、聞こえているかも分からない我が子に
一人、話し掛ける。
.......その姿は、異様な程に切なく見えた。
(...........何だ───頭が.....痛い)
カイムは、夢の中の光景を前に
唐突に襲ってきた頭痛に耐え切れずに、その場に蹲った。
『.........カイム。
お前は強い子だ。......私の子なのだから。
───────私が居なくなっても......お前は、ずっと幸せに生きるんだよ』
そして少しだけ間を開けて、より一層瞳に悲しい陰を落として
言葉を続けた。
『......たとえ、どんなことがあってもね』