mirage of story
 
 
 
 
 
 
 
 
カイムの意識が、現実へと引き戻される。

失われていた意識や感覚が、次第にカイムの身体に戻ってくる。






「─────夢か」



カイムは小さく呟いた。
目が覚めて、現実へと戻ってもまだ少し頭がボーッとする。






(........夢の中で最後に父さん、泣いてたな)




カイムは、まだ鮮明に残っている夢の記憶を振り返る。

夢から醒めるその前に、薄れる意識の中で見た父は確かに泣いていた。




.........あんなに、哀しそうな父の顔。記憶に残る父の顔すら曖昧だが、あんな顔は記憶には一切ない。
カイムは、初めて見た。

そしてあんな、父の流す涙も。






(.......あれは、父さんが家を出てった時の記憶。
────でも、最後の方は記憶になかったな)





夢の中での話。

だから、カイムの頭の中に残る夢の情景はカイムが無意識に作り出したもの。 ただの夢の話。


かもしれない。






(........ただの夢?
あの父さんの言葉も、涙も俺の中で作り出されたただの夢なのか?)






 
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