mirage of story
〜10〜








(なっ?!
まさか俺達がここに居ることを嗅ぎ付けたのか?!)




カイムは不気味な笑みを浮かべ去って行くロアルの姿に激しく動揺する。

襲い掛かる訳でもない。
大軍を引き連れて討伐に来ているという様子にも見えなかった。


ただ不敵に笑うだけロアルの姿。

ッ。
カイムの胸が疼く。









(どうして!?
ばれるにしたって早すぎる......っ!)




カイム達がロアルの腹心であるライルの手から逃れ逃げてきてまだ三日。
たったそれほどしか経っていない。



追っ手だって来てはいなかった。

完全に撒いた。
そう思っていたはずなのに。











(どうして.....)




疑問と戸惑いが、頭の中を廻る。






(奴らの情報網っていうのは、それほどまでに広いっていうのか?
俺達の動きなんて、すぐに捉えてしまうくらい)





カイムの中に言い表わせない程の不安が込み上げる。

嫌な感覚が身体の中に渦巻き何とも言えない不快感が襲う。








.........ヒュルルル.....。



不安と動揺が込み上げる最中。

ふと唐突に奇妙な音がして、カイムは一旦疑問を押し殺して再び外を覗き込んだ。











「っ!」




外を覗くと冷たい風が顔を撫でた。

そして視線は先程までロアルが居た場所に釘付けになる。
目が、目が離せなかった。






今までただの地面しかなかったその場所。

そこには小さな、でも凄く邪悪な気を放つ黒い風が渦を描いて逆巻き始めていた。

ッ。
その渦は何処か広大な銀河さえも飲み込んでしまうブラックホールのようにも見えた。 






 
< 319 / 1,238 >

この作品をシェア

pagetop