mirage of story
もう本当に、一刻の猶予もないのは確実だった。
「─────貴方は早く逃げてください。
ここにこれ以上居れば、逃げれなくなります!」
カイムは、蒼白な顔で目の前で繰り広げられる光景を見る老人に手を差し伸べて、真剣な眼差しでそう言った。
「........は....はい。
ですが、旅の御方はどうなさるのです!?」
老人は、蒼白したままでカイムを見返して
言葉に頷くした出来なくて、そしてカイムに尋ねた。
「..........俺は、シエラを捜してから行きます」
「────!?
ですが旅の御方.....」
老人もこの状況が危険だということを理解しているのだろう。
無謀なカイムのその言葉に、驚愕したように口を開く。
「────俺には行かなきゃいけない理由がありますから」
「此処で逃げなければ、貴方の命が危なくなるのですぞ?
.....自分の命を投げ出してまで行く理由など────」
老人は何とかカイムを止めようと口を開く。
「理由は、シエラが俺の仲間だから。それだけで十分です」
老人の言葉が言い終わるのを待たずに
カイムは、言葉を遮り軽くほほ笑みながら言う。
そんなカイムの姿は、こんな状況でも己の身より仲間を思う
どこまでも気高き姿だった。
老人は、カイムを止めることは出来ない。
そう感じて、カイムに背を向けた。
「旅のお方。....どうか、ご無事で。
街の者たちと共に、あなた方の無事を祈っております────」