mirage of story

　




　
　
　
「なぁ嬢ちゃん？
いい加減離してくんねぇかな？

まずは、こいつをどうにかするのが先なんじゃねぇのかい？」




ジェイドは、掴まれた首元を煩そうに左右に振ると少し疲れたように、一つ息をつく。

そして視線だけをフッと横に向けて倒れたままのカイムを見た。



――――。
そうだ。
まずは、彼のことをどうにかしなければならない。













「.....分かったわ」



フッ。
優先すべき順位をジェイドに諭され彼女は掴んでいた彼の首元から手をゆっくり外す。

まぁ、まだ視線はしっかりと睨み付けているけれど。
それでも彼女と彼は離れた。











「ふぅ、ようやく楽になった。

......って、嬢ちゃん。まだ俺が何かしたとか思ってんのか？
うーん、心外だねぇ」




ようやく解放された襟首の乱れを整えながら、彼は言う。

心外だ。
そう言ってる割にそう思っているようには見えない。









「今は貴方を信じて話は後で聞くことにします！

まずはカイムはどうにかしなきゃ.....さぁ、手伝って下さい！」



「─────ったく。
無実の俺を疑っといて今度は手伝えって......嬢ちゃんってば、なかなか酷いねぇ」


「いいから、早く手伝う！」



「.....はいはい、手伝いますよー」





またふざけたような口調で切り返すジェイドだったが、自分を睨み付けるシエラの視線があまりに痛かったのでとりあえず言う通りにしようと多少やる気のない声で答えた。





　
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