mirage of story
世界は静かだった。
大地を吹き抜ける風。その風に騒めく木々。
見上げれば、何処までも続いているような澄んだ青色。
一面の青いキャンパスに、点々と真っ白な雲が描かれる。
夜になれば、空高くに煌めく星達が世界を彩り
そしてまた、太陽が昇り世界を照らす。
途切れることのない、そんな世界の循環。
それは何でもないことのようで、本当は奇跡に近いこと。
「.........この世界、我等が守るぞ、炎竜」
「あぁ、そうしようとも――――水竜」
蒼と紅。
二匹の竜の誓い。
それはこの世界が平和であり続けることの奇跡を、現実のままにするための誓い。
守らねばならぬ誓い。
「――――さぁ、我等も眠りにつこう。
.....そしてこの世界が平和であることの奇跡、見守り続けようぞ」
彼等が封印した同胞が目覚めぬよう、見守る義務が在る。
いつか、世界の終わりを見届けるその時まで。
世界を見続けよう。守り続けよう。
二匹の竜は、そう決心をして静かに瞳を閉じた。
「.......我等が眠りについて、この世界は大丈夫だろうか?」
目を閉じ、静かに訊ねる炎竜。
「――――あぁ、大丈夫だ。
この世界.....彼等に託そう。きっと彼等が、世界を創り平和を導いてくれる」