mirage of story
 
 
 
 
 
 
 
世界は静かだった。


大地を吹き抜ける風。その風に騒めく木々。

見上げれば、何処までも続いているような澄んだ青色。
一面の青いキャンパスに、点々と真っ白な雲が描かれる。





夜になれば、空高くに煌めく星達が世界を彩り
そしてまた、太陽が昇り世界を照らす。


途切れることのない、そんな世界の循環。

それは何でもないことのようで、本当は奇跡に近いこと。









「.........この世界、我等が守るぞ、炎竜」



「あぁ、そうしようとも――――水竜」




蒼と紅。
二匹の竜の誓い。

それはこの世界が平和であり続けることの奇跡を、現実のままにするための誓い。
守らねばならぬ誓い。











「――――さぁ、我等も眠りにつこう。
.....そしてこの世界が平和であることの奇跡、見守り続けようぞ」




彼等が封印した同胞が目覚めぬよう、見守る義務が在る。

いつか、世界の終わりを見届けるその時まで。
世界を見続けよう。守り続けよう。


二匹の竜は、そう決心をして静かに瞳を閉じた。









「.......我等が眠りについて、この世界は大丈夫だろうか?」



目を閉じ、静かに訊ねる炎竜。







「――――あぁ、大丈夫だ。
この世界.....彼等に託そう。きっと彼等が、世界を創り平和を導いてくれる」









 
< 640 / 1,238 >

この作品をシェア

pagetop