mirage of story

 





セシルのその行動に気が付かないまま、準備を整えて約束通りにメリエルの南側にある関所に向かうと、そこにはロキが居た。




十日間ずっと此処で待っていた、ということはさすがに無いと思うが、ジェイド達三人が着いた時にはもうロキはそこに居た。


あれから一度も彼の姿を見ていないのに、どうしてジェイド達がいつやってくるか分かったのか。
それは謎だ。

もしかしたら、何処かからジェイド達を見張っていたのかもしれない。







ロキと合流し、彼等が拠点としている地へと向かうことになったわけなのだが。

ロキが何処からか調達してきた簡易的な馬車のようなものを走らせ、丸四日。
目的地らしきものは、影すら見えない。
あるのは、もう見飽きてきたゴツゴツとした土の大地と時折の数少ない木々だけ。



どこら辺に向かっているのかとロキに尋ねてみたが、今のところは答えられないの一点張りで結局あとどのくらいで着くのかも分からない。






そんな状況で、今はメリエルを発って四日目の夜。
大地の真ん中にテントを張って野営しているというわけだ。




このご時世、野営というものは物騒なもの。

なので代わる代わる見張り役として、誰か一人が起きてることにしていた。




今は、ジェイドがその見張り役。
テントの外で一人毛布に包まりながら、そのセシルの想いの塊である新世界白書を片手に見張りをしているのだった。







 
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