mirage of story








もう二度と会うことはない。


そう言う声は凄く哀しそうなのに、男はどうして笑うのか。
何故に笑うのか。

男の声と表情には明らかな矛盾があった。









"貴方が......私達が選んだ道が本当に正しいものだったのか、私はあの子を見る度に思ってしまうの。

あの子が私の隣で笑っていると、嬉しいはずなのに私はどうしても貴方の面影を重ねて、哀しくなる。
それは、私がまだ貴方を愛しているからかもしれない。



あの子は私達にとっと、かけがえのない宝物。

あの子を守るためなら何もかもを犠牲に出来るわ。
それは、あの時と同じ。ずっと私の中で変わらない。




でもね、私達はその大切なものを守るそのために、取り返しのつかない大きな過ちを犯してしまった。
その事実が、今になっても私の心の中に突き刺さるの。


それに、それに私達があの子を守るためにしたその過ちが、本当にあの子のためになったのかって凄く不安になります。
逆にあの子を、苦しめる結果になってしまったのではないかって。





それは貴方自身も判っていたのでしょう?

だから貴方は私達から―――私とあの子から貴方自身を遠ざけた。
.....貴方の抱いたあの子の未来への危惧が、現実となってしまわぬように"







 
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