mirage of story










王は言う。
これは"特別な指輪"であると。

煌々。儚く光る。
二人はその指輪に引き込まれた。











「この指輪には竜が宿ると云われている。
選ばれた者にしか持つことさえ許されない、特別な特別な指輪だよ」



そう言う声。

言われ一層に見つめるが、見えるのはごく普通の指輪。
だが二人は幼いながらもこの指輪の異質さを感じた。






――――。
王は二人の様子を見据え、静かに指輪をルシアスへと差し出す。











「.....お前になら扱えるかもしれん」





手を出してごらんと彼女を促し、差し出された小さなその手の平に指輪を落とした。


ッ。
指輪が手の平と触れ合う。
その瞬間、指輪は彼女と共鳴するかのように輝き出す。




何事だ。
思った時はもう遅く、淡い光が辺りを包んだ。

今まで見たことも無く幻想的だった。






――――。
スウゥッ.....。

しばらくすると光は鎮まり、静けさが戻る。
空間には光の余韻が残る。












「....。
これで、はっきりしたよ」



そう言い、王は微笑んだ。
二人は何も判らぬままだった。







「その指輪はお前の物だよ。

いいかい?
その指輪をなくしてはいけないよ。
それはお前自身なのだから」





ライルには言葉の意味は判らなかった。

だが彼女は意味を理解してかしないか判らないが、指輪をしっかりと握り締めてルシアスはその場を後にする。
ライルもその後をいこうと思ったが、まだ話があると王に制止された。







 
――――。

王と二人きり。
王は優しくただこう言った。







「あの子を守ることが出来るのは、お前しか居ないんだ。
あの子を、ルシアスをよろしく頼むよ」
 








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