社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~
「付き合ってるわけないじゃないですか! その反対ですよ。前原ちゃんを女としては見られないすよね、て話です」
「なんで?」
社長が不思議そうに答えてから私を見下ろした。
「女にしか見えない」
「いや、そりゃ性別的にはそうでしょうけど、そうじゃなくてー!」
名取さんがじれったそうに言葉を続ける中、私は胸が高鳴るのを感じた。
――女にしか見えない。
まっすぐ注がれた瞳にはまだいつもの強さがなかったけれど、それでも真っ黒で吸い込まれそうなほど透き通っていた。
優しい目、だった。
そういう意味じゃないとわかっていても、私をイモと呼んで笑ったり、反応しないといってからかったりする名取さんたちとは全然違って、社長は私をバカにするような目で見なかった。