社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~
そもそも、私は社長から『スティリスの社員として自覚を持て』と言われているのだ。だからお芋に甘んじていてはいけない……とわかってはいるのだけれど……。
無邪気に笑いながら私の肩を叩いてくる名取さんを、恨めしく思いながら見やる。
微妙な問題を無遠慮に掘り起こす営業マンは、デリカシーがないうえに空気が読めない。
「名取くんて、小学生のとき絶対にいじめっ子だったでしょ」
ひとり座って優雅にコーヒーを飲んでる森さんが、私の気持ちを代弁してくれた。メガネを曇らせながら、彼は口元でくすりと笑う。
「そんで好きな子をいじめちゃうタイプだ」
「……お前ら、付き合ってんの?」
ぼんやりした顔のまま、社長が私と名取さんを交互に見た。名取さんがぎょっとしたように手を振る。