社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~

 長いまつげをはためかせるように目を見開いたLANAの担当者は、明らかに喜んでいた。顔中を笑みで満たして、興味がなさそうだった私に改めて視線を戻す。

「そうなんですかぁ。新庄さんお辞めになったの。へえ。それで新しくこの方を。……背は高いけど、新庄さんとはずいぶんイメージが違うのね」

 赤い唇の端っこが無遠慮に持ち上がる。さんざん浴びせられてきた種類の笑い方に私は目を伏せた。手に持ったままの名刺ケースが視界に入る。

 転職フェアの会場で、社長がスマートに差し出してくれたスティリスの名刺。洗練されたデザインのこれに憧れ、実際に自分の名前が印刷されたものを渡されて、気持ちは大いに高ぶった。

 だけど私は、こんなにおしゃれな名刺を持つのにふさわしい人物ではない。

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