社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~

「いや、そんなこと言われても……」

 ただの動画配信とはわけが違うのだ。イソラが絡んでいるだけで、その視聴者数は一般人の動画配信の何千倍にものぼる。そんな大勢の前に、あんなおしゃれなワンピースを着て出るなんて……。

「いいじゃん前原ちゃん。記念にさ。こんな機会二度とないって」

 名取さんが他人事のように笑う。

「プロにメイクしてもらえば、別人みたいに美人になれるかもよ」

 失礼な物言いはいつも通りだけど、なるほど、と思ってしまう自分もいた。

 メイクで別人みたいにきれいになれるなら、カメラの前にちょっと出たところで地味な大女だとは思われないかもしれない。

 周囲を見回すと、ギャラリー内の空気はさらに私を盛り立てようとしていた。

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