社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~

 キッチンも使い終わった後はピカピカに磨き上げているし、化粧水もドライヤーも洗面用具も、私物はすべて部屋に置いてあった。

 この家に住むようになって二週間が経つけれど、なんとなく気後れして気配を消すように生活している。

 といっても、社長はいつも遅くまで会社に残っているから、私が一階のスペースで活動しているときに帰ってくることは少ない。たいていはこうやって部屋や応接ルームのソファでリラックスしているときに帰宅するから、彼とはまだそんなに家の中で顔を合わせる機会がなかった。

「ていうか、まだ二十一時だなんて、信じられない……」

 帰宅してから夕飯を食べお風呂に入って髪を乾かしただけで、以前だったらとっくに二十三時を回っていた。むしろ今日は一時間も残業したのに。

「本、読もう」 

< 271 / 383 >

この作品をシェア

pagetop