社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~


 ドライヤーのスイッチを切った途端、こめかみを汗が一筋流れ落ちた。

「ふう、あっつ」

 髪を乾かす間だけでも、ドライヤーを使うと部屋の温度が一気に上昇する。

 ここのところ日中に信じられないくらい気温が上がり、陽が落ちた後も暑い日が続いていた。だから夜でもエアコンを入れっぱなしだ。

 キャミソールにショートパンツ姿でベッドに座り、手のひらをぱたぱた扇いで汗ばんだ肌に風を送る。

 こんなだらしない姿、社長には見せられない。

 男の人と同じ家に住むと、これまでの女所帯では気にならなかった様々な場面で気を遣うようになる。お風呂の使い方ひとつとってもそうだ。自分が入浴したあとに社長が入ることを思うと、出る前に必要以上に掃除をしてしまう。

< 270 / 383 >

この作品をシェア

pagetop