社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~
びっくりして見ると、ピンストライプが入ったグレーのエプロンだった。社長は首掛けタイプのそれを私にまとわせ、腰紐をベルトループに通して真正面でリボン結びにした。
「あ……ありがとう、ございます」
心臓の音が、少しずつ大きくなっていく。向き合った距離感は、私にいつかの出来事を思い出させた。
顔を上げて無意識に目が引き寄せられるのは、バランスよく配置された顔のパーツの中で、赤く色づく唇。
あのときのキス……。
はっとして、私はまな板に目を戻した。手に持ったままのトマトを置き、軽く息を吐く。
夢だと思って記憶から消そうとした、朝方のキス。
でも、忘れられるわけがない。
だって、社長のうつくしすぎる裸身も、唇の柔らかさも、まざまざと思いだせる。