社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~

「あの、この体勢よりちゃんと座ってた方が楽なんじゃ」

「ねえ前原ちゃん、俺と付き合ってよ」

「……え?」

 私の耳にアルコールの匂いがする熱い吐息を吐きながら、名取さんは呻くように言う。

「俺、前原ちゃんのことが好――」

「名取!」

 低い声が聞こえたと思ったら、真正面からかぶさっていた感触が消えた。見ると、息を切らした社長が名取さんを抱え起こしている。

「これ、飲め」

 地面に片膝をついた社長は、自分の方へ名取さんをもたせかけ、キャップを外した経口補水液を半ば強引に彼の口に突っ込んだ。

「大丈夫だ名取。お前は自力で帰れる。さっきタクシー呼んでやったから」

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