社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~

 そんなこと、聞かれても……!

 固まっている私を見て少しだけ目元を緩め、彼は顔を寄せてきた。ぎゅっと目をつぶって体を縮めると、額にあたたかな感触が触れる。

「……まあ、ダメって言われてもするけどな」

 社長は私の顔を抱えたまま、額からこめかみ、耳へと唇を落としていく。これまでに感じたことのない感覚に体が変に震えた。

「や、あの、ちょっと」

 肩を縮めて甘い気配から逃れようとしたら、急にメガネを外された。

 黒縁のそれをセンターテーブルに置き、社長は私に向き直る。ぼやけた視界のなかで、不思議と端正な顔はよく見えた。

 ちゅっと音を立てて形のいい唇が私の頬にキスをする。そのままゆっくり下がっていき、いつか触れた場所にたどり着いた。

 頬と唇の間の、曖昧な場所。

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