社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~
体の震えごと包み込むような、社長の匂い。目を開けていられず、私はぎゅっと瞼を閉じた。激しすぎる胸の高鳴りに息すらできない。
そして、柔らかな感触が唇に触れた。
言葉では説明できない感覚が背筋を駆け抜けていく。
あの朝の唐突なキスとはまるで違う、彼の意志がはっきり感じられる唇の動きに、全身が反応する。
じっくり合わさったあと、柔らかな感触が離れた。目を開けると、切れ長の瞳にじっと見下ろされている。
きゅうっと胸が締まった。
めちゃくちゃ恥ずかしい。嬉しいという気持ちよりも、恐れ多いという気持ちが勝ってしまう。
彼の透き通った眼差しを自信たっぷりに見返すことができない。ただ心臓だけが狂ったみたいに鳴っていて、私は距離を取るために腕を伸ばす。