社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~
「なんでだよ。俺には関係ないだろ」
「関係大ありでしょ! ほら、用意してきたから」
新庄さんが不織布の黒い衣装カバーをデスクに置き、ファスナーを開けている。それを横目に見ながら私は仕切りの向こうに視線をやった。
定時を十五分ほど過ぎたフロアには、社員がまばらにしか残っていない。
私もそろそろ帰ろう。
気配を消しながらファイルを棚にしまっていると、社長の吐き捨てるような声が聞こえた。
「ふざけんな。誰がこんな」
「優志」
鋭い声に、思わず振り返った。
いつも微笑みを絶やさない新庄さんの顔に、これ以上ないほどの極上の笑みが浮かんでいる。ちょっとぞっとするくらいの微笑に、横にいるだけの私も固まった。