社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~

「これは最後通告よ」

 デスクに片手をついて身を乗り出す新庄さんに、社長の方が圧倒されている。珍しい光景だと思って息を呑んでいると、小さく舌打ちをして社長が立ち上がった。

「……わかったよ。着りゃいいんだろ」

 衣装カバーをもって社長室を出ていく背中を見送ってから、新庄さんは私を振り返る。いつも通りの優しい微笑みが、かえって凄みを帯びているように思えた。

「ごめんね結愛ちゃん。うるさかったでしょ」

「い、いえ……」

 社長も、新庄さんが相手だとあんなふうに言葉を飲み込むんだ……。

 彼らが一緒に働いていた姿をほとんど見てこなかったせいか、新鮮だった。それと同時に寂しい気にもなる。

 彼女といるときの社長は、私といるときとは全然違う。

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