社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~

 新庄さんのためにきちんとした格好をして、彼女のために、ご両親に挨拶に行くの……?

「どうしたの前原ちゃん?」

 板倉さんに顔を覗き込まれ、はっとする。

 気がつくと両手で胸を押さえていた。心配そうな彼女の顔を見下ろしながら、頭の中をぐるぐる回るのはいくつもの声だ。

『前原ちゃんて、身長何センチなの?』

『新庄さんとおんなじくらいあるよねー? 社長と並んでるとめちゃくちゃお似合いだわー』

『身長だけはめちゃくちゃバランスいいな~。社長でかいから、なかなか釣り合う女がいませんもんね』

 ずきりと、激しい痛みが胸を襲った。

 たとえば新庄さんが、彼氏のいっときの火遊びに寛容なタイプだとしたら。

 あるいはふたりは本当に別れていて、新庄さんが戻ってきてからヨリを戻したのなら、彼女は別れているあいだの彼の行いについては目をつぶるのかもしれない。

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